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【同期対談】文部科学省での3年間で、どこまでいける?何ができる?(後編)

前編に引き続き、
「とりあえず3年」を経験した文部科学省職員の本音をお届けします!
後編では、これまで携わった仕事のインパクトややりがい、今後の抱負などについて語ってもらいました。
今回も対談してもらうのはこの4人です!

3年間で携われる仕事って?~インパクトは大きい!~

―高山 行政としてのインパクトとか、仕事の重みの話がありましたが、皆さんがやってきた仕事の中で、これ実は結構すごいことやっていたな、とか、世間に与えている影響を実感したことはありますか?

―梅田 大学ファンド(※)に関連する動きは予算としても法案としても、とにかくインパクトが大きいと思います。ファンドを置く法人で10兆円を元本として運用するためにはどうすればいいかという議論のなかで、元本の10兆円をどのようにして確保・運用していくかということも、規模を考えると大変なことですが、まずはそれを可能にするために関連する法律を急ぎ改正する必要があったり…。
ファンドの運用は始まったばかりですが、検討のプロセスも含めて、マスメディアによる報道も、そして反響もとても大きかったと思います。大学ファンドに関する法案である国際卓越研究大学法案の決定に向けても、筆頭課としてサポートしてきましたが、日々そのインパクトを感じながら業務に携わっていました。

大学ファンド:
国際的に卓越した科学技術に関する研究環境の整備・充実、優秀な若年研究者の育成および活躍の推進に資する活動などに対する長期的で安定的な支援のための財源確保を目的に創設。大学ファンドの運用益は、世界最高水準の研究大学の実現を目指す「国際卓越研究大学」に対する支援や、全国の優秀な博士課程学生への経済的支援に活用される。

―桑原 私も実は、この大学ファンドに関する法案の部署を兼務して、初めて法律を作るところから審議までを担当したので、ここまで衆議院を通過し、メディアからも多く報道されているのがとても感慨深いです。
前編での話にも関連しますが、省内幹部が国会議員の方々にこの法案の説明をしていた際に、本当に霞が関の役人としての全ての経験を活かして進めているところを間近で見られたのはとても大きな経験でした。
最近では、衆議院でのこの法案の審議において、国会答弁の「張り付き(※)」も初めて経験しましたが、そういった場では緊急時には適切な判断を即時に下す必要も出てきますし、その緊張感の中で動く能力の重要さを実感しました。大学ファンド周りでは検討会議なども非常にメディアの注目も大きく、丁寧な進行がなされていました。

張り付き:
国会における国会議員からの質問への回答にあたって、不測の事態に備え、大臣や政府参考人といった答弁者以外に、答弁担当省庁の職員が会議場内にて、いつでも答弁者をすぐにサポートできるよう、答弁者の近くに待機すること。

―望月 教育周りでの経験になりますが、こども家庭庁の動きはとてもインパクトが大きい上に、自分にとってもいい経験でした。幼稚園に関する行政を、こども家庭庁かそれとも文科省か、どちらで担うのかということも会議で検討され、会議内部での幹部の実際の動きとともに、意思決定と議論が動いていくのを自分の目を通じてリアルタイムで見るというのは、本当に貴重な経験だったと思います。
1年目に所属していた地震・防災研究課でも、例えばニュースで地震動予測地図が取り上げられたときは、文科省が与えている行政としてのインパクトの幅広さを実感しました。災害関係ではどうしても気象庁や内閣府防災担当、あるいはインフラの観点で国土交通省が行政のプレイヤーとして取り上げられることが多い中で、地震動予測地図のような文科省クレジットのものが用いられるのは、文科省が担う基礎的・基盤的な研究が重要であることの裏付けであり、こういうところにも浸透しているところもインパクトの一つだと思います。

―渡邊 私は国際原子力機関(IAEA)の国際共同評価プロジェクトに関する公開資料で、報告書の日本語翻訳の校正を行う機会があったのですが、これが国のクレジットの資料としてそのまま公開されて後世に残るのかとふと思ったときに、自分が担っている業務の責任の重さを感じました。
また、今担当している「マテリアル先端リサーチインフラ」という事業では、25もの法人にご参画いただいています。その各法人のステークホルダーも、大変すばらしい方々ばかりなのですが、その方々にも最終的には本事業の一部として研究活動を実施していただくことになるため、まずは各ステークホルダーのお立場や考え方を把握しながら先生方のご意見を踏まえ、すれ違いが起きないよう慎重に進めて、文科省としてより良い政策作りにしていくことの責任とインパクトを実感しています。
若手のインパクトという意味では、同期の中でも職員業務と併任して、科学技術・学術政策研究所の研究官として政策研究をしている人もいて、文科省を進路として考える学生の方からも良い意味で印象が強いのではないでしょうか。

国際原子力機関(IAEA)の国際共同評価プロジェクト(IAEAのHPより)


4年目を迎えて ~これからどうなる?~

―高山 業務として具体的にどんなことをするのか、どんな経験・知識が身につき、重要になるのか、ここまでの経験に基づいてお話いただきましたが、ここからのこともぜひ教えてください。
この仕事を本当に続けるのかを考えるにあたり「とりあえず3年続けてみろ」なんて言われることもありますが、とりあえず3年経った皆さんが思うことを、ぜひざっくばらんにお話しください!

―渡邊 世間でも、2~3年目で転職すること自体は珍しくないですし、文科省も例外ではないと思います。さみしいですが、同期の中でも転職し、異なる道を歩み始めている人もいます。
霞が関の働き方にはまだ課題もありますし、事情は人それぞれですが、私は公務員というのは社会貢献に最も近い仕事の一つであり、そして未来を担う人たちに貢献できるのが文科省の何よりの魅力だと思っています。
文科省の先輩方は、社会貢献への意欲と信念をしっかり持っていらっしゃるので、自分もその信念をもとに、他の職員の皆さんと思いを一つにしてこれからもやっていきたいと思っています。

―桑原 霞が関における役人の仕事は、その組織構造の中で予算や国会等、本当に多種多様なものがありますが、少なくとも自分はここまでの3年間で国会と予算、法令を一通り幅広く経験させてもらえたな、と実感しています。
他にも税制とか、あるいは新規事業とか、経験していない業務もありますし、仕事が自分に合うか合わないかという問題はありますが、個人的には、一つ合わないところがあっただけで文科省職員としての道を断念するのはちょっともったいないかな、と感じています(笑)。
私もこれからもいろいろ経験してみたいなと感じています!

―梅田 桑原さんと同じですが、私もとりあえずもっといろいろ見てみたいなって思います。筆頭課業務を長くやることで、本当にいろいろなことを広く学ぶことができましたが、今度はそれで興味を持ったことを深く掘り下げるべく勉強してみたいと思います。

―望月 特に入省したての頃は、文科省でのお作法を叩き込んでも、いざ実践になるとあたふたしますし、みんなひたすらもがきますが、自分はなんだかんだ泳ぎ方がわかってくるのが3年目ぐらいだった気がします
折角だからその泳ぎ方をこれからも文科省で活かせればと思いますし、文科省だけでもやっていることが本当に多種多様で、異動も1~2年のサイクルで飽きず、常に新鮮な刺激がありますから、これからもとても楽しみです!

―高山 せっかくですからついでに、4年目の職員の目線からこれからの文科省に期待することも、ぜひこの機会に言っちゃってください!


―梅田 国家公務員の働き方に関する重要な話として、長時間残業があると思います。残業の長さは部署や時期によって違いがありますが、長時間労働を乗り越えられる人もいる一方、失うものがないわけではありませんし、それが常態化してしまうと当然持続的な働き方ではないですから、引き続きしっかり改善されるといいなと思います。

―渡邊 そうですね。加えて、これからは国家公務員としての働くことのインセンティブが、やりがいや留学以外にも、色々広がってくれるといいなと思います! 

―桑原 これからの時代、霞が関の役人が、1~2年程度の出向・研修だけでなく、もっと長い期間民間企業にどっぷり浸かってみて、その経験を再度文科省での職務に活かす仕組みがあると、文科省としても充実していくんじゃないかなと思います。

―望月 文科省でも中途採用等、実施していますが、一度文科省を退職した人を中途で再雇用する仕組みもあると、「もう戻れない」という感覚もなくて、安心して外の経験を積めるのにな、とも思います! 

―高山 本日は皆さん、リアルなお話をありがとうございました!



以上、お読みいただきありがとうございます。
今回の記事はいかがでしたか?
 
文科省に入って「とりあえず3年」経った職員のリアルな体験と考えを、ありのままにお伝えできていましたでしょうか。
少しでも皆様の印象に残り、一つのキャリアとして文科省で働くことになった時に、どんな経験・スキルが得られるのか、具体的にどんな業務を行うのか、リアルなイメージを持っていただけるような内容になっていれば嬉しいです。