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『文教施設企画・防災部』って何?? ~文部科学省における施設系職員の働き方~

今回は施設系採用の早田さんへの職員インタビューです!
早田さんは、大学で建築学を学んだ後、文科省へ入省、文教施設企画・防災部や、教育系、科学技術系での業務経験、自治体への出向などをご経験されています。
そんな施設系のみならず様々な業務経験をされた早田さんから、これまでの経験について詳しく語っていただきます!(2022年4月にインタビューを実施)

早田清宏(そうだきよひろ)
 平成18年度入省。以降、文教施設企画・防災部や研究振興局、内閣府の地方創生担当等に従事。施設系技官として採用を受け、文教施設に関する業務に従事しながらも、研究開発や地方創生等、幅広い分野で活躍。

文部科学省採用情報 施設系(総合職・一般職)
https://www.mext.go.jp/b_menu/saiyou/sisetu/index.htm
インタビューの様子(左から2番目が早田さん)

文部科学省を志した理由は

-小玉・光地・長屋 本日はお忙しいところ、インタビューにご対応いただき、誠にありがとうございます!今回の記事は、初めての施設系職員に関する記事となります。施設系職員の中でも様々な部署のご経験がある早田補佐から色々なお話をお伺いできればと思っております。よろしくお願いします!それではまず、文部科学省を志望した理由を教えてください。 

早田 私は、大学では建築学科で構造学を専門していました。文科省の施設系を志望したのは、建築以外の仕事にも携わりたいと思ったことが一番の理由でした。というのも、学生時代、自分よりも設計がうまい人が沢山いるなという躊躇いから構造学の道に進みましたが、将来も構造設計のみをやり続けるのではなく、他の分野の仕事にもチャレンジしたいという思いがありました。文部科学省は、教育や科学技術、スポーツ、文化と幅広い分野を担当しており、各分野で人と関わりながら仕事ができることに魅力を感じ、志望しました。

当時の就職活動を振り返って思うことは

-小玉 民間企業への就職は考えましたか。

早田 考えなかったですね。私の研究室の場合だと、ゼネコンに行って現場監督やったり、あるいは構造設計をやったりという人が多かったのですが、私の場合は、そういったスペシャリストの道を歩むよりもゼネラリストとして活動したいなと思い、民間企業は受けなかったです。

-小玉 他省庁は視野に入れましたか。

早田 建築を専門としていたため、国土交通省も考えていました。

-小玉 他省庁と比較して最終的には文部科学省に入省するに至ったポイントはありますか。

早田 単純に文部科学省に採用していただけたということもありますが(笑)、国土交通省と文部科学省比較したときにそれぞれの省庁で働く人のカラーがあり、自身に向いているのは文部科学省だなと感じたのが一つのポイントとなりました。また、文部科学省が扱っている政策分野である教育・科学技術・スポーツ・文化の方に興味があったということも決め手の一つとなりました。

入省後の若手時代を振り返ると

-小玉 入省前と実際に働き始めてからのギャップはありましたか。

早田 恥ずかしながら、入省する前に業務内容について強いイメージを持っていなかったので、働き始めた後のギャップというのはあまりなかったと思います。入省後は、仕事の仕方や人との接し方も含めて、少しずつ学んでいき、働き始めた当初は、周囲に迷惑をかけることも多く、本当に大変だったなという記憶があります。

-小玉 徐々に仕事に慣れてきて、仕事が面白いなと思えるようになったのはいつ頃ですか。

早田 私の場合だと大体6~7年目ぐらいかと思います。初めて文教施設企画・防災部以外の部局に異動し、業務内容や接する人も大きく変わる中で日々の仕事に取り組む中で、自分の経験の幅、すなわち、器が広がる感覚がありました。また、当時は東日本大震災の発災直後であり、厳しい中で業務をやり切ったということも自信につながったと思います。

早田 その後は、異動を繰り返し、様々な業務に携わる機会をいただき、少しずつ自信が積み重なる感覚がありました。一つ一つの部署でやってきたことに思い入れがあり、成長させていただいたと思います。私は今までに約10か所の部署を経験しましたが、全ての部署の業務に面白さがありました。

-小玉 働き始めたとき、辛さなどはありましたか。

早田 最初の3年目まではしんどかったです。日々携わる業務や情報量が膨大で、自分を見失うことがありました。皆さんは今、3年目を迎えてどうですか。

-長屋 私たち3年目が今、同期で集まると結構そういう話になります(笑)

早田 いつかどこかで絶対、その辛さを抜けるタイミングが来ると思います。ある程度、仕事の流れや方法が分かってくると先が読めるようになったり、過去に対応した案件と似てるなって思ったり、自分の経験値がどんどん増えると、仕事がよく分からないまま嵐のように流されるっていう状態から少しずつ変わっていくと思います。

-長屋 私たち3年目の職員の相談会みたいになっていてすみません…(笑)様々な部局に行き、全く違う業務にあたることになっても、過去の経験が生かされていると感じますか。

早田 そう感じます。国会対応であったり予算業務であったり、どこの部署でも基本となる仕事は一緒なので過去の経験を活かせます。

これまで経験した業務について

-光地 では次に、様々なポストを経験されたご経験をお伺いできればと思います。まず入省後の5年間、文教施設企画・防災部で経験されたことを教えて下さい。

早田 当時、耐震化率がまだ50%程度であった小中学校について、耐震化をどのように進めていき、技術的な方法を普及していくか検討しました。具体的には、事例集の作成や、委託事業で自治体が耐震化推進計画を策定するための支援も行いました。その他、公立学校の施設整備費について、予算補助のための技術的な要件の検討を行ったり、当時、蛍光灯等に含まれていたPCBという有害物質を含む製品について、国立大学法人ではどれだけ所持しているか、また定められた法令の基、特殊な処理施設で適切に処理しているか等について調査を行いました。

-光地 入省直後で大変だったことはありましたか。

早田 先ほどお話した3年までの大変さを少し詳しく話しますと、入省して1年目の時は、山のように業務や情報がふってくる中、仕事の仕方を覚えることが大変でした。会計・契約関係の手続きや通知の発出手続き、決裁の手順等覚えることが沢山あります。一方で、ある上司からは「早田君はなんの為にこの仕事しているの。」という仕事の本質を問われることもあり、当時の自分は未だそこまで考えが至っておらず、与えられた仕事をこなすだけで…。だから仕事もきつかったし、ただただ疲弊し、仕事のパフォーマンスも落ちるという悪循環でした。当時の自分に、落ち着いてゆっくり考えたり、上司と仕事に対して目的をもって前向きに取り組めるような話あうといいよと伝えたいですね。(笑)

-長屋 ちょうど私たちが今、3年目で同じような悩みを持っています。(笑)

早田 現在、小玉さんが担当している国土強靭化関係のお仕事もそうですよね。

-小玉 作業が多いので本質を忘れてしまいがちになるんですが、 目的をもって仕事に臨むようにしたいです。

各役職での業務の違いについて

-光地 4年目になると、役職も係長に上がられたと思いますが、大変さ等はありましたか。

早田 係長と係員の違いは、仕事の進め方を自分で企画するようになるというところがあります。スケジュール管理やカウンターパートとの交渉、情報収集等、係長になると自分が主体的に動くようになりました。それまでは、係長に言われたことをやるという感覚が強く、係員時代の自分はあまり果敢に積極的に何かに取り組むタイプではなかったので、係長になってかなり変わったと思います。

-長屋 民間企業等と比べると、国家公務員の総合職は昇進が早く、部下を持つのが早いというのが特徴と思いますが、それについてはどのようにお考えですか。早く部下を持つ方が、様々な経験ができると思われますか。

早田 私は早く部下を持つのはいいことだと思います。なぜなら、国家公務員の総合職の1~3年目に経験することはとても多く成長できるので、早いうちから部下を持ち、チームとして仕事をすることは、更なる成長に繋がると思うからです。

-光地 部下を持つことにプレッシャーは感じませんでしたか

早田 初めて、部下ができたのは、5年目に科学技術学術政策局に異動した時でした。当時、1年生だった係員2名と一緒に仕事をしましたが、2人から教わることが沢山ありました。自分が分からないことは教えてもらいながら一緒にやっていこうと考えていましたし、上司や同僚の方々も温かい方ばかりでしたので、不安は感じませんでした。部下の育成のことも考えましたが、何かを教えなければ、育てなければと過度にプレッシャーを感じることは無かったです。

-光地 1~3年目までのときに、4年目から係長になる事へのプレッシャーはありませんでしたか。

早田 それはありました(笑)。1~3年目の時は、上司から頻繁に「お前も4年目になったら係長になるんだぞ。」と言われていましたからね。(笑) 当時は、本当に自分に自信が無かったので、こんな状態で係長になれるのかなあと常々思っていました。結果論ですが、係長になったらなったで、何とかなります。(笑)

-長屋 現在、課長補佐級のご役職でありますが、どの役職のときが楽しかったですか。

早田 常に今が1番楽しいと思います。今までの全ての経験値を活かして今の仕事ができるからです。

-長屋 先輩方を見ていると、この仕事で経験を重ねていき、それが積み重なって強くなり、発揮できる仕事なのかなあと感じます。

早田 そうですね。私の場合は、特に入省してすぐの1~3年目は、施設部の先輩方から教わってばかりで、多々迷惑をかけました。その後は、施設部以外の部局や自治体に出向していたので、昨年度、久しぶりに施設部に戻ってきて、施設部に恩返ししたいなという気持ちが強いです。 私が今まで施設部以外の部局や自治体でやってきた経験は自信にもなっているので、それを役立てたいと思っています。

-長屋 私が入省した当時、施設部のリクルート担当の方から言われていたのが、文科省における施設系採用は少数派ではあるのだけど、少数派の中で強いつながりを持っていて、家族のようにお互いを支えあっているところが良いと伺いました。そういった雰囲気が嫌な子もいるかもしれませんが、私は繋がりが強い職場で働きたいなという思いがあったので、文科省の施設部を選んだことを思い出しました。今、働いていても施設部はホームな感じがしてとても好きです。

早田 そうそう。そういう感じはあると思います。私も10年ぶりに戻ってきて、ホームに帰ってきたという感覚でした。ですが、私はホームの外に出ることも大事だと思っています。成長という面で、ずっとホームにいたら中々成長することは難しいと思います。外に飛び出さないと。(笑)

-光地 私たち3年目の施設系採用職員はこれから施設部以外の部局に異動になる可能性が高いので、不安もありますが、しっかり頑張りたいです。

早田 様々な部署に行くことで顔が広くなると、困ったときに助けてくれる人が多くなると思いますし、質問することへの抵抗もなくなります。

施設系以外の分野の業務に従事することについて

-光地 文教施設企画・防災部以外の部局には異動の希望をされましたか。

早田 異動先の希望として、具体的な部局名は挙げていませんでしたが、文教施設企画・防災部とそれ以外の部局を、半々ぐらいで異動したいことは伝えていました。唯一、具体的な異動の希望を出したのは、9年目に、地方創生で市町村に出向したいというものです。

地方創生に関する業務(地方自治体への出向)

-長屋 地方創生の話が出ましたので、先に、岐阜県池田町に出向されたご経験をお伺いできればと思います。池田町への出向が決まったときはどう思いましか。少し話がそれてしまうんですが、私は岐阜県池田町の隣にある大野町出身です。(笑)

早田 そうだったんですね(笑)。当時、地方創生で出向できる3つの自治体の候補がありました。3つの自治体で共通していたのは、人口10万人以下ということです。普段、仕事では、都道府県の人とやりとりすることがほとんどですが、本当はその先に市役所や町役場、村役場があって、更にその先にはそこに住んでいる方々がいます。しかし、東京に住みながら霞が関で仕事をしていると、なかなか地方自治体の実態まで想像がしづらいと思っていました。全国の8割の自治体が人口10万人以下、7割の自治体が5万人以下であるのに、その実態を知らなかったので、そのような自治体が実際にどういう風に動いているのかを知りたいと強く思っていました。ですから、出向が決まった時は非常に嬉しく思いました。

-光地 池田町では、具体的にどんなお仕事をされましたか。

早田 町長の右腕となる理事の役職をいただき、教育に限らず福祉や産業、農業、観光等、まち全体を元気にするプロジェクトを立ち上げ、そのプロジェクトを運営していく仕事をしていました。

まちづくりワークショップを運営する役場職員の皆様(左から1番目が早田)

-光地 すごく面白そうですね。

早田 そうですね。特に、役場の人たちだけでこのプロジェクトを行うには限界があったので、池田町の中で魅力的な活動している人たちの協力を得て、一緒に取り組めたことが楽しかったですね。

-長屋 役場の職員の方々や市民のみなさまは、プロジェクトに協力的でしたか。

早田 町長を始め沢山の方々が協力してくれましたが、「黒船がやってきた」という見方をされることもありました(笑)。

-長屋 そうですよね。私の故郷である大野町で同じような状況を想像すると、東京から誰かがやってきたら怖がる気がします。(笑) 村社会が存在する地域だと、「よそ者が来た!」ってなってしまうような気がします。

早田 それについては、池田町の岡崎町長がバックアップして下さって、役場の職員の方や地域の方々との関係構築にご協力いただいたことが大きかったです。池田町では、町内の各地域に「区長さん」がいますが、いわゆる自治会長であり、その地域を取りまとめています。区長さんは地域の代表であり、行政に対する影響力が非常に大きいです。町長は、住民の声を大事にしていましたので、区長さんからのご意見もとても大切にしていました。小さな市町村では、物事をどのように決まっていくのか、誰がキーパーソンになっているのかが非常によく見えました。

-光地 文部科学省から人口の少ない市町村への出向は、レアな経験だと思いますが、どのようなことが得られたのでしょうか。

早田 池田町には、クラフト展を開催したり、自分の特技を生かしたワークショップを行ったり、農作物のネット販売を始めたり、お茶づくりに力を入れていたりと魅力的な活動をしている方が沢山いました。また、育児をしながら、まちづくりや人の繋がりづくりに関心を持っているママさんもいました。町民と役場職員が、共にプロジェクトに取り組む過程の1つ1つが勉強になりました。また、キーパーソンの見つけ方も非常に勉強になりましたね。少し話が飛びますが、池田町で身に着けた「キーパーソンと協働する」は、私が昨年度行っていた水害対策の施策検討の際も活きました。水害対策に知見のある有識者にお会いした瞬間に、「あ、この施策は上手くいくな。」という感覚がありました。今のは一例ですが、どの仕事であっても、そのことに対して想いを持って取り組んでいる人や、経験がある人を探すことを意識することが大切だと思います。そういったことができるようになったのは、小さな町での経験をさせていただいたお陰だと思っています。ですので、私は施設系採用であっても、他の部局に異動したり、自治体に出向したりして、様々なことを経験し、自分の器を広げていくことが大切だと思います。

駅舎をまちづくり拠点に改築するプロジェクトに町民も参加

教育政策に係わる調査研究に関する業務(国立教育政策研究所への出向)

-光地 早田さんは、行政官だけでなく、研究職も経験されていますが、国立教育政策研究所 文教施設研究センター(以下、国研とする)ではどのようなお仕事をされていましたか。

早田 国研では、児童生徒の安全安心と学校空間に関する調査研究や、シンポジウムの企画を行っていました。国研でも誰と研究するかということを自分で調べて、対象となる先生を探して、一緒にやってくれませんかとお誘いしてチームを作りました。講演会ではどなたに講演していただくか海外も含め探して調整をしました。この仕事も大変でしたが、企画して、1つ1つ形にしていくことがとても面白かったです。講演会のテーマを企画する際は、「対話」というキーワードを大事にしていました。教育委員会、学校関係者、地域の方々、設計者が対話をしながら学校づくりに取り組んだ事例を探して、それを発表していただくこととしました。

-光地 国研での業務はプレイヤーになる場合もあるように思いますが、今までサポート側であったところからプレイヤーになってみて、何か発見とかはありましたか。

早田 確かに自分が研究するという立場ではありましたが、行政をサポートする研究をしているという意識が強かったです。「児童生徒の安全安心と学校空間に関する調査研究」では、学校で起きる事故を1件でも減らすため、その原因を分析し、対策を考え、行政に伝えたいという想いで研究をしていました。

-長屋 私自身のための質問になってしまいますが(笑)、今後異動先として国立教育政策研究所はおすすめですか。

早田 そうですね。自分で企画をして、何かを深く調べたいとか、研究者との繋がりを作りたいという人にとってはおすすめだと思います。研究者の方と繋がると、研究者の方が学校建築についてどのような考えを持っているかを直に聞ける機会が増えるので、行政的な面だけではなく、そもそも学校建築に対する知見が得られます。例えば、こういう歴史があって現在に至っているのだなとか。そういうことに関心がある方には、良いと思います。

地方分権に関する業務(内閣府への出向)

-光地 他省庁に出向した時のお話も聞きたいのですが、内閣府ではどのようなお仕事をされましたか。

早田 地方分権に関する業務でした。地方の要望を踏まえ、国が持つ権限を地方に移譲したり、法律等による義務付け枠付けを外したりすることを検討しました。その中で、「この業務はこうしてほしい。」という希望を出す地方と、その業務を担当している省庁の間に入り調整を行っていましたが、地方の意見や取組に触れる中で、間に入って調整をするだけでなくて、地方の中で自らまちづくりに取り組みたいと思い始めたことが、池田町に出向希望を出すきっかけの1つでもありました。

-光地 内閣府で業務をされていたときは、内閣府の立場から、文科省の担当部局と連絡を取り合うことになったと思いますが、仕事のやりづらさ等はありましたか。

早田 地方分権は総務省が音頭を取って進める仕事でしたが、地方分権に積極的な総務省と、地方分権に対する是非を検討する他省庁という構図がありました。国が取り組むべきことと、地方が取り組むことの役割分担が重要なためです。それぞれの思惑がある中で、地方の要望を踏まえて、情報を共有し、意見が180度異なる時もある中、どう1つの答えを導いていくかところが大変でした。また、様々な省庁の方がいる中での職場内での人間関係づくり、仕事の進め方をつぶさに見ることができたので、大変でありましたがとても良い勉強になりました。

-長屋 文科省の職員と他省庁の職員との違いを感じたことはありますか。

早田 それは1年目の全省庁合同の初任者研修のときに感じました。文科省の人は自然と文科省の人で集まって内輪で飲むようになっていました。(笑) 厚労省の人は中心になって全体を盛り上げて飲んだり、国交省は体育会系だったり、経産省の人はクールでおしゃれだったりとか。(笑) 各省によってカラーがあるなとその1年目の研修の時に思いました。

-長屋 今、私は文科省内でしか働いたことが無いので、なかなか他省庁の方の雰囲気とかを感じたことが無いですね。

早田 それもやはり一度他省庁に出てみないと分からないですよね。文科省の施設系採用は、建築・電気・機械が専門の方限定で採用がされていたり、これまでは施設部内の異動が多かったりと(現在は、施設系採用であっても、キャリアパスで、他部局、他省庁等の経験も積むという方針がある)、特殊な状況だと思います。ホームに感じられるという意味では良さもありますが、逆の見方をすると、その世界しか知らないとなってしまう場合もあるので、経験や価値観を拡張するために、施設部以外のポストを経験する必要があると思います。また、多様な部署を経験することで自信がつくと思います。私自身、これまで取り組んできた業務や、得られた人のつながりのお陰で、自信が持てるようになりました。

-光地 新しい部局に行くとそこでまたイチから人間関係を築いていかなければならないのは大変ではないですか。

早田 私は人と接することが好きなので大変と感じたことはありません。人が何に関心を持ってどういうことをやろうとしているかとか、何を嫌がり怒っているのかということを知ることが好きです。根底にあるのは、自分が何かをこうやりたい!というよりも、何かを頑張ろうとしている方を支えたいというのが強くあります。ですので、新しい部署に異動しても、この部署では何を大事にしているのだろうかとか、この分野のキーパーソンは誰なのだろうとか、そういうことを知っていくのが好きで、ワクワク感がありました。

「行政官」として働くということ

-長屋 行政官の仕事の中で、調整する仕事に就くこともあると思いますが、その仕事は人によって向き不向きがあると思いますか。例えば、人と接することが苦手な人はあまり国家公務員に向いていないと思いますか。

早田 それは無いと思います。調整するという仕事もありますけが、調べたり研究したり考えたりするという仕事も当然あります。そういうのが得意な人も絶対必要とされていると思いますね。国家公務員の向き不向きで、一つだけ思うことは、自分がプレイヤーなりたい場合はその道に進んだ方がいいと思います。例えば、自分で建物を設計したい場合は設計事務所に行った方が良いし、自分で子供たちに教えたい場合は先生になった方が良いと思います。私たち行政官は、先生や子供、研究者、スポーツ選手、文化人、県や市区町村の職員を支えることが仕事だと思います。

-長屋 自分もそうだったのですが、就活生の時は、公務員になったらどんな仕事をするのか具体的なところが見えないからこの仕事を選ぶことって結構難しいですよね。

早田 本当にそう思います。もしイメージするとしたら、大学のサークルでいう会計役や部長、野球部で言うとマネージャー、そんな立場だと思います。その誰かを支える方法が、法律であったり、予算であったり、情報発信であったりだと思いますが、そのやり方は入省してから覚えればいいと思います。世の中が少しでも良くなるように、輝いている人を応援したいという人は向いていると思います。

文部科学省を目指す学生さんにメッセージ

-長屋 では、最後に、文科省や霞が関での仕事を考えている学生さんに向けて何かメッセージをお願いします。

早田 文科省の一番の魅力は、日本全国の、教育、科学技術、スポーツ、文化の分野で活躍される方々と直接接しながら、その人を支える仕事ができるところだと思います。その道の第一人者の方と接し、お話を伺いながら、社会がより良く回る仕組みを考えられることはとてもやりがいがあることだと思います。そういうことに関心がある人は、文科省は、ぜひ、お勧めです。一緒に働けることを楽しみにしております。

-小玉・光地・長屋 本日はお時間いただき誠にありがとうございました。

文教施設企画・防災部について、もっと知りたい!という方はこちら!
◇文部科学省 採用情報 施設系(総合職・一般職)
https://www.mext.go.jp/b_menu/saiyou/sisetu/index.htm


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